最新の治療

肺非結核性抗酸菌症(肺MAC症)に対する血液UV療法   

    現在、肺NTM症の治療としては抗結核剤が使用されていますが、効果がないことが多く、
   また投与すれば菌交代現象をおこして、より抵抗力の強い菌を発生させることがあるため、
   なかなか治療に踏み切れないところがあります。
     また投与したら投与したで、中止すると急性憎悪の恐れもあるためなかなか中止できず、
   10年ないし20年も抗菌剤を継続し続けている患者様がいるのもまた現状です。
   10年も20年も副作用の強い薬剤を使用しながら治癒しないということは使っている
   薬が効いていないと考えられますし、視力障害や聴力障害など生活に支障を来たす
   強い副作用も心配になります。

    私共は2016年より日本で初めて(おそらく世界で初めて)肺NTM症に対して血液UV療法(UVBI)
   を導入し、その最初の成功例を2017年10月の日本酸化療法医学会で発表いたしました。
   その後も次々と成功を収めております。

              血液UV療法とは

血液UV療法とはUltraviolet Blood Irradiationと言って、体外に取り出した血液に紫外線を当てて、 その血液を元の血管に戻す治療法で、紫外線の殺菌作用を利用しています。

血液UV療法をはじめて感染症治療に応用したのは、1928年シアトルの科学者エメット・ノット
(Emmet Knott)で、溶連菌による敗血症の妊婦患者さんに1日2回血液UV療法を行なったところ、
3日間で治癒したと報告されています。
その後ノットと医師ハンコック(Hankock)は1942年までに6520例に血液UV療法を施行しましたが、 有害な副作用は認められませんでした。

ノットとハンコックは、数例の肺結核症例に血液UV療法を行って、非常に良好な結果を得ましたが
記録として残していません。
その後は、血液UV療法の教科書を書いたマイリーが血液UV療法を粟粒結核2例と結核性髄膜炎2例
に試みた以外は、血液UV療法を抗酸菌治療に行った記録がありません。

一方、同じ1928年イギリスのフレミングによって発見されたペニシリンは、1942年にペニシリンG
として実用化され、第2次世界大戦中に多くの負傷兵を救い、それ以降は感染症治療
の中心は抗生物質となりました。
しかし抗生物質の無秩序な濫用は耐性菌を生むことになり、現在の抗菌剤治療の深刻な問題
となっています。
アメリカでは毎年200万人以上の人が耐性菌による感染症を起こし、そのうち少なくとも2万3千人
の人々が死亡しています。抗生物質でも最後の切り札と言われるカルバペネム系抗生物質でさえ効かない、
スーパー耐性菌が出現して来ています。
このような耐性菌に対する新しい抗菌剤の開発を、製薬会社は経済的な理由で行なわなくなった今こそ、
血液UV療法が見直されるべき時であると言えます。
なぜなら血液UV療法においては、耐性菌という問題は発生しないからです。
そしてその上、細菌による感染症だけでなく、ウイルスによる感染症でも、真菌による感染症でも血液UV療法
は有効性を発揮します。
このように考えてくると、血液UV療法というのは、耐性菌発生による重症細菌感染症や敗血症に対して
「最後の砦」的治療法として適応があると言えます。
また、深刻な副作用の為に抗生物質が使えない患者様やウイルス感染症、真菌感染症など適切な治療薬
のない感染症の患者様に対しても応用できます。
抗生物質は経口投与、注射投与など非常に簡便な方法で治療できますので決して感染症治療の中心から
外れることはないでしょうが、抗生物質にとって歯が立たない微生物による感染症においては、血液UV療法
の出番があります。
また、抗生物質にはない免疫賦活作用が、血液UV療法にはあります。

             血液UV療法の作用機序

   ① 紫外線C波を照射することで、血中の酸素分子が励起状態、つまり通常の三重項酸素から
     SingretOxygen=一重項酸素になることで、血液中の消去系を刺激し免疫系を賦活化します。
   ② 少量発生するオゾンは血液中の水と反応して過酸化水素を発生させ細菌、ウイルス、
     がん細胞を破壊し、免疫機能を活性化する効果があります。
   ③ 紫外線の直接作用によって、細菌生物学的毒素を分解します。

             血液UV療法の利点

   血液UV療法の最も特徴的な利点は、手技が簡単ということです。血液を吸って戻すだけ、
   5~10分がトータルの治療時間です。また、副作用が少なく、速効性があって患者様の体感も早く
   また管理が容易であり、機械が小さく往診にすら使用可能です。

  何より血液UV療法の優れた点は耐性菌の問題が生じないということです。

 

血液UV療法による非結核性抗酸菌症の治療効果   

  症例1 (83才 男性)             M.avium + M.intracellulare
           UV療法施行  前                         UV療法施行 1年後

  


           UV療法施行  前                         UV療法施行 1年後

  


           UV療法施行  前                         UV療法施行 1年後

  

  
           UV療法施行  前                         UV療法施行 1年後

  


           UV療法施行  前                         UV療法施行 1年後

  

  

  

  症例2 (80才 女性) 

       UV療法施行  前                         UV療法施行   後
               2017.10.13                             2018.10.04


       UV療法施行  前                         UV療法施行   後
               2017.10.13                             2018.10.04

              

       UV療法施行  前                         UV療法施行   後
               2017.10.13                             2018.10.04


       UV療法施行  前                         UV療法施行   後
               2017.10.13                             2018.10.04

 

  

  

症例3 (83才 女性)          M.abscessus

カナマイシンで聴力障害を来たし、エタンブトールで視力障害を来たしたため、カナマイシンとエタンブトール中止の後、血液UV療法開始した症例。

常に咳と呼吸困難と血痰を繰り返していたが、次第に改善した。
     胸部単純x-p

       UV療法施行  前                         UV療法施行   後
               2017.11.08                             2018.11.19

             

 

非結核性抗酸菌症(肺MAC症) 目次 

 

非抗酸菌 肺非結核性抗酸菌症とは

 

非結核性抗酸菌症とは何か?

 

非結核性抗酸菌症 感染源

 

非結核性抗酸菌症 菌種

 

非結核性抗酸菌症 羅患率グラフ

 

非結核性抗酸菌症 症状

 

診断の流れ

 

非結核性抗酸菌症 診断

 

非結核性抗酸菌症 患者像

 

非結核性抗酸菌症の経過(3つのタイプ)

 

非結核性抗酸菌症 CT像

 

非結核性抗酸菌症 CT画像

 

非結核性抗酸菌症 治療方針

 

非結核性抗酸菌症 治療の難しいところ

 

非結核性抗酸菌症 主な治療薬剤

 

肺NTM症のCT所見(応用編)

 

血液UV療法による感染症治癒メカニズム

 

肺非結核性抗酸菌症に対する血液UV療法
<H29.10.15 日本酸化療法医学会 学会講演内容>